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漫画の感想とかをひたすら書いていくブログです。

今年も「次に来るマンガ大賞」が既に来ていないか調べてみた

(11/12)「背すじをピン!と」のPOS週間順位を載せました。POS実売目安は30位以内だと推定出来ないようになっているので空欄です。

(12/8)「背すじをピン!と」のオリコン実売を載せました。ジャンプ作品としては小粒ですが、やはり全体の中では強いです。

去年書いた日記(http://d.hatena.ne.jp/skyhorse/20141108#1415453555)と同じことを今年もやってみることにしました。と言っても今年は「これから売れてほしいマンガ部門」とは銘打たれていないので売り上げで叩く意味がないんですけどね。いやそもそもこんな場末のblogで手間暇かけて叩いてどうすんのって話ですが。

コミックス部門のノミネート一覧はこちら。僕のマンガ生活が潤っていない為なのか、見覚えのない作品が多い気がします。中には前回ノミネートされていた作品もちらほら。

以下去年の記事から同様事項抜粋。

方法

2ちゃんねる(.netの方)少年漫画板の「コミックランキング売り上げ議論スレ」の過去ログから参照出来るオリコン50位、並びに「漫画・マンガ・コミック 売上ランキングBEST500」のPOS週間500位を参考に、全てのノミネート作品の最新刊の売上を調べます。

オリコンで数字の出ているもの(週間50位圏内)については極力「推定累計売上部数」を採用します(集計日数をある程度考慮します)。出ていないものについては発売週か翌週のPOS週間500位で良い方の順位と、推定の部数(おおまかな実売目安を参考に線形補間したもの)を併記することにします。

POS週間500位にランクインしていないものについてはPOS即日500位を使おうかとも思いましたが、週間500位にランクインしていない=2,500以下でほぼ確定なので、特に順位とか気にせず雰囲気で並べてあります。

結果

単純に売上部数の昇順で並べてみます。*1※マークのある作品は第一回でもノミネートされている作品です。
(…は記載なし、-は未確認を示す。A・MWはアスキー・メディアワークス、MFはメディアファクトリー、EBはエンターブレイン

タイトル(出版社、作者) 最新巻 オリコン集計日数 オリコン推定累計売上部数 POS週間順位 POS推定部数
ふしぎの国のバード(KADOKAWA/EB、佐々大河 1 - - *2
ブルーサーマル -青凪大学体育会航空部-(新潮社、小沢かな) 1 - - *3
盤上のポラリス講談社、若松卓宏・木口糧) 2 - - *4
古都こと―ユキチのこと―(秋田書店、今井大輔) 1 - - *5
中卒労働者から始める高校生活(日本文芸社、佐々木ミノル)※ 4 - - 470 **2,420
ヤスミーン(集英社、畑優以) 2 476 **2,532
少年ラケット(秋田書店、掛丸翔) 1 - - 498 **2,562
波よ聞いてくれ講談社沙村広明 1 - - 496 **2,680
月に吠えらんねえ講談社清家雪子)※ 4 - - 460 **2,810
からかい上手の高木さん小学館山本崇一朗)※ 2 - - 415 **2,945
アルテ(徳間書店大久保圭)※ 3 - - 436 **3,030
死にたがりと雲雀(講談社、山中ヒコ) 3 - - 476 **3,266
弟の夫(双葉社田亀源五郎 1 - - 372 **3,430
彼女はろくろ首(講談社、二駅ずい) 1 - - 443 **3,556
エンバンメイズ講談社田中一行 3 - - 322 **3,607
町田くんの世界集英社安藤ゆき 1 - - 394 **3,896
MUJIN―無尽―(少年画報社、岡田屋鉄蔵) 2 - - 312*6 **4,262
ヒトミ先生の保健室徳間書店、鮭夫) 4 - - 320 **4,270
天使とアクト!!小学館ひらかわあや 3 348 **4,441
老女的少女ひなたちゃん(徳間書店、桑佳あさ) 1 - - 330 **4,670
SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん(スクウェア・エニックス長田悠幸・町田一八) 5 - - 210 **4,865
ちおちゃんの通学路KADOKAWA/MF、川崎直孝 3 - - 298 **5,082
Back Street Girls(講談社ジャスミン・ギュ) 1 - - 308 **5,284
この美術部には問題がある!KADOKAWA/A・MW、いみぎむる 5 - - 177 **5,828
恋は光(集英社秋★枝 3 - - 263 **5,870
リマックス集英社柴田ヨクサル・蒼木雅彦) 2 - - 183 **6,740
サイケまたしても小学館福地翼 3 188 **7,710
リクドウ(集英社、松原利光 5 - - 110 **9,165
もののがたり(集英社、オニグンソウ) 2 - - 111 *10,078
忘却のサチコ(小学館阿部潤 3 *86 *11,194
かわいいひと(白泉社斎藤けん 1 - - *81 *12,043
僕たちがやりました講談社荒木光金城宗幸 2 *69 *12,906
トクサツガガガ小学館丹羽庭 4 *80 *13,680
フラジャイル 病理医岸京一郎の所見(講談社、恵三朗・草水敏 4 - - *81 *13,200
小林さんちのメイドラゴン双葉社クール教信者 2 *6 *,*16,744 - -
魔王様ちょっとそれとって!!集英社春野友矢 4 *3 *,*18,463 *59 -
ノー・ガンズ・ライフ(集英社、カラスマタスク) 1 *5 *,*19,135 *48 -
背すじをピン!と鹿高競技ダンス部へようこそ〜(集英社横田卓馬 1 *5 *,*24,654 *27 -
ハクメイとミコチKADOKAWA/EB、樫木祐人)※ 3 *4 *,*37,491 - -
はたらく細胞講談社清水茜 1 11 *,*40,167 - -
水玉ハニーボーイ(白泉社、池ジュン子) 3 *7 *,*42,208 - -
クズの本懐(スクエア・エニックス横槍メンゴ)※ 5 *4 *,*42,561 - -
ぐらんぶる講談社吉岡公威井上堅二 4 *7 *,*46,178 - -
恋は雨上がりのように小学館眉月じゅん 3 10 *,*51,759 - -
高嶺と花白泉社師走ゆき 2 10 *,*65,588 - -
亜人ちゃんは語りたい講談社、ぺトス) 2 10 *,*72,159 - -
ゴールデンカムイ集英社野田サトル 4 12 *,*76,814 - -
ブラッククローバー集英社田畠裕基 3 *9 *,*80,462 - -
賭ケグルイスクウェア・エニックス河本ほむら尚村透 3 14 *,115,621 - -
ダンジョン飯KADOKAWA/EB、九井諒子 2 40 *,362,906 - -

感想

相変わらずバケモノ級に売れてる作品がいくつかありますね。実売36万とか、発行部数にしたら軽くミリオン到達してるんじゃなかろうか……。その一方で話題になった「ヤスミーン」が全然売れてなかったりとか。身を張って自然(出版)界の厳しさを教えてくれてます。

去年との比較で言えば、ノミネートは50作で同様。1万部超えは21作品とそこまで変わりがない結果になりました。「ダンジョン飯」の売れ方がもの凄いのでついつい目が行きがちですが、全体的な売れてる漫画率・売れてない漫画率は大差ないようですね。投票する読者層が変わらないのだから当たり前かもしれませんが。

はっきり言って初連載の売り上げじゃないですよ。

出版社を見ますと、前回2位受賞の「魔法使いの嫁」を排出したマッグガーデンの名前がありません。「魔法使いの嫁」殿堂入り後の期待作がまだ育っていない(という言い方はおかしいですが)のでしょう。他には前回2作ノミネートの竹書房芳文社、1作ノミネートのほるぷ出版、泰文堂が姿を消しています。これらのうち竹書房の「ラーメン大好き小泉さん」はテレビドラマ化、芳文社の「幸腹グラフィティ」はアニメ終了、「NEW GAME!」もアニメ化決定、泰文堂の「ReLIFE」もアニメ化決定で、いずれも「もう来た」という判断でしょう。
「幸腹」「NEW GAME!」はまんがタイムきららの連載。きららが続く期待作にあまり恵まれていないというのはおかしな話ですが、そもそもパイの小さな萌え4コマの世界ではアニメ化してからが勝負ですし、この賞とは相性が悪いかもしれません。
ReLIFE」と、残る「メイドインアビス」「思春期ビターチェンジ」はいずれもweb媒体での連載。comicoコミックガンマコミックメテオ、いずれもここ2、3年で誕生した新しいwebマンガサイトです。最初はもの珍しさで読まれても、継続した人気を得ることが出来るのか、という問題に直面しつつあるのかもしれません。

他の出版社は集英社講談社小学館KADOKAWAの大手4社を始め、白泉社徳間書店スクウェアエニックスなどの大手は危げなく新作をノミネート。双葉社少年画報社・新潮社も新作でノミネートを堅持しました。気になるのは日本文芸社で、「中卒労働者」の連続ノミネートのみです。まあこんなよく分からん賞のノミネート程度で云々言ってもしょうがないんでしょうが……。

上位層に絞ってみると、やはり集英社の強さが目を引きます。青年誌・少女誌・少年誌とくまなくノミネートされており、まさに隙がないといった趣きです。大手出版社は長期連載の人気作品を抱えていますから、それ以外の作品の売り出しにはあまり投資しない傾向があるように思いますが、それを覆したのはやはりジャンプパワーなのか、それともそれ以上のものがあるのか……。

どうしてwebマンガ流星のように輝いてから消えてしまうん……?

調べていると、売上の大小と、いわゆる漫画系ウェブメディア(コミックナタリーとかこのマンガがすごいとか)への取り上げられることには相関があまりないような気がします。まあメディア側は下の方までもれなくカヴァーする必要があるから当然っちゃ当然ではありますが、大事なのはメディアに取り上げられることではなく、ネット上で「バズる」ことなんでしょうね。

題材的には、ゆるめの可愛い女の子が登場するのが有利なのかなぁ、と思わなくはないですが「賭ケグルイ」「ノー・ガンズ・ライフ」「ゴールデンカムイ」みたいなハードコア寄り血みどろ万歳なのも売れてはいるので、一概にそうとも言えない感じです。どっちかに特化することが大事ということですかね。

全体的な印象としては、スタートダッシュに成功した者と失敗した者の勝ち組・負け組格差がすさまじいことになっているなぁ、と思いました。特に1巻発売前のスタートダッシュが大事過ぎますね。ここで上手くいけたら売上に100倍近い差が出るわけですから……。いや別に「ダンジョン飯」がつまらないとかいう話をしてるんじゃないですよ。普通に面白いですけど、一歩間違えたら「ヤスミーン」と売上が入れ替わっていてもおかしくなかったんじゃないか、ということです。

一歩間違えてれば俺だって……。

しかし冷静に考えてみたら、初週実売1万部超えが「勝ち組」というのもなんだか酷な話ですね。なにせ初週1万部ということは、初版は多めに見ても精々5万部が関の山です。印税は1割が相場だそうですから、600円の単行本1冊出して300万円。年間3冊出しても年収900万です*7。ここから税金とアシスタント代が消えますから、かなり多めに見積って手取り4〜500万と言ったところでしょう。これでも漫画の世界ではアッパーミドル、勝ち組の部類に入るわけです。まんが道シグルイなり……。

*1:オリコンの数値は発売開始からの累計の部数ですが、POSは発売日週末時点での売上部数なので、オリコンの方が数字が大きくなる傾向があります。また発売日によって集計日数が変わるため、週の後半に発売されたマンガは部数が少なく出ます。そのため、ここに挙げた売上を保証するものではありません

*2:圏外。2,150未満

*3:圏外。2,550未満

*4:圏外。3,050未満

*5:圏外。3,450未満

*6:数値は1巻のもの。2巻は10/30発売

*7:連続ノミネートしてる漫画の既刊の増え方見れば分かりますが、年間3冊以上も出せる漫画家はごくごくわずかです