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漫画の感想とかをひたすら書いていくブログです。

週刊マンガ感想2020年2号(1/11-1/17)

集英社お休み回ですがイブニング、エッジとあるので冊数は来週と同じです。

YM7

「首を斬らねば分かるまい」

クレイジーサイコビッチこと晴美さん、留学でしばらく棚上げになるかと思ったらあっさりついてきてて笑ってしまった。逆レイプの現場をまだ7歳の津田梅子に見つかる最終コマもとても面白いです。門馬先生は週マガでも「神様サイ殺ゲーム」を連載されてますが、どっちも先が読めないというか、良い意味でも悪い意味でも既存のマンガの文脈を無視して進んでいる印象がありまして、正直「神様~」のほうは「大丈夫かこれ……」と思ってしまうぐらい、その「行きあたりばったり感」が悪い方に作用してしまっている印象があります。しかしながらこちらの「首を斬らねば~」のほうは、「行きあたりばったり感」は同じでもそれがいい方向に作用しているというか、無茶苦茶な流れなんだけどそこがあまり気にならないように作られているように感じます。今回も「家の決めた許嫁と、愛しているが一方通行の女性のどちらを取るか悩んでいたら大久保利通に拉致されて岩倉使節団に放り込まれた」「岩倉使節団の中に許嫁が潜り込んできて逆レイプされそうになったところを津田梅子に目撃された」という文章にすると全く意味不明の展開なんですが、愛州幸乃助という架空の人物の半生を描くというバックボーンがあるので「まあこういう意味不明の展開ってあるよな、伝記だと」というぐらいで流せるんですよね。まあ私がこういう意味不明の展開に弱いというのもあるんですが。

「新・信長公記

なんか急に明智が勝てる気が微塵もしなくなってきたぞ……。明智の強みは要するに「人たらし」ということですよね。人の強み弱みが見抜けるから交渉もすんなり纏めて相手の懐に潜り込むのも簡単。でも銀杏高校全生徒を見方につけたとしても、それで家康に勝てるとは全く思えないんですよね……。明智の能力は強固な信頼関係に基づくアライアンスというわけではないので、家康の圧倒的なパワーの前にもろくも崩れ去る気配しか感じない。逆に言うと明智がそれに気付いてないはずないと思うんですが……それで行くと史実の明智光秀とこの明智との連続性もイマイチ分からないんですよね。人たらしなら本能寺の後でもう少し仲間がいてもいいでしょう。他の奴らが我先に敵討ちに走るってそれ、全然たらせとらんやんけっていう。もしや、そういう詰めの甘さ(表面的な一時の感情を過剰に信頼してしまう)が明智の特質ってことなの?

家康の側に立って考えると、敢えて全校を敵に回して勝つというパフォーマンスをしたかった、というモチベーションは考えられます。明智が「人たらし」だというのは現世で得た知識かもしれませんが、全校を纏められるのが彼しかいないと見込んで指名し、圧倒するという青写真ではないかという予想です。

イブニング3

新年1発目は「俺の零話読切プロジェクト」から2作。「エピローグをもう一度」はアラサー本屋のラブロマンス。買っていく本のタイトルを繋いでいくと告白になるなんていかにもベタベタな(月9でありそうな)内容ですが、読切として綺麗に完結しすぎていて、これ連載化するとしたらどうするつもりなのか。オムニバス作品でやっていくということなんですかね。「世界の果てまで有Qとらねば!」は疲れたおっさんの離島ラブロマンス。離島と美女と疲れた男、というとこちらも鉄板ですが、こちらは逆に設定が全然掘られていなくて捉えどころがない感触。「なんで竃?」とか、多分用意してるけど零話だから敢えて伏せてるとことかあるんですよね。分かる。でも軽トラと宴会の謎踊りだけで引っ張るのはちょっとしんどいと思うんだよね……。あんまり奄美らしさをアピってなかったのは個人的に残念なポイント。タイトル通り「行ってQ!」のパロディがメインなのだとしたらごめんなさい。拾えませんでした(行ってQ見たことないので)。

そして

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知ってた。知ってたよ。やっぱり性癖マンガは強いんですよ。「エピローグを~」も「世界の~」も、表層だけラブコメに整えるよりも、性癖マンガで勝負した方が絶対にいいですよ。「激辛課長」だってコメディ装ってますけど、あれも一種の性癖マンガですからね。性癖マンガは強い(大事なことなので二回言いました)。

他に「代原バード ピピ」が3回目の掲載。今回はなんの代原なのやら……?

「めしのあとはやせましょう」

ゲスト全員バーチャルだから俺が一人で飲酒してるだけだな…

ま、まあ最近成人男性超絶飲酒動画がブレイクしてるし……

WM7

新連載「なれの果ての僕ら」密室猟奇系サスペンス。同級生のサイコパスが突然「人間の本性」とか言いだしてデスゲーム的なことを強いる展開。映画ですが「SAW」シリーズが切り開いたジャンルという印象です。マンガだと僕がこれまでに読んだ中では「エニグマ」(少年ジャンプ)が近そうか。作者の内海八重は前作「骨が腐るまで」をマンガボックスで連載していたそうです。こちらもサスペンス系。

「それでも歩は寄せてくる」

詰将棋は簡単な3手詰。初手9一飛と放り込む手が盲点になりやすいけど守備の要である馬から玉をおびき寄せる捨て駒です。同玉に9二銀で解決。

「DAYS」

あれ? 高校サッカーって40分ハーフじゃなかったっけ?

炎炎ノ消防隊

すげえ……めちゃくちゃ面白い……。アーサーの妄想をバルカンがコントロールしようとして上手くいかず、アーサー自身の暴走が予想外の価値を生む、というのはこれまでにもあった形でよくできた組み立てですが、その予想外の価値が「アーサーの両親」って……いや予測不可能っつーか、反則でしょ。だいたいなんでネザーにいるの。実家? この流れでアーサー里帰り編始まっちゃうの? まあ、ヒバナ隊長も里帰りしたし多少はね?……ってならんわ! 大久保先生ホントに緩急がお上手です。この感じだと来週号は一転真面目回、つまりアーサーパパの「世界を救う」というのは妄想などではなく、普通にレジスタンスの一員、もしくは白装束の一味だった、という展開なのでは。

WS7

「洗脳執事」

少しずつ連載の概要が見えてきたような。「友人」を探すために執事をしている九鬼ですが、周囲は九鬼を尊敬し崇拝しこそすれ、対等な関係は結べない。そんな彼にとって、自らを「洗脳執事」と呼び、敵対心を顕にする苺お嬢様は実はかなり有力な友人候補ではないかと思うんですが、実際には九鬼は苺を嫌いぬいています。苺の行動がどこか間が抜けていることと、九鬼があくまで執事としての分を踏まえて仕事は完遂するスタイルなので分かりにくいですが、彼の行動原理からすると苺に対する敵愾心は違和感のあるところです。

そこへ今週の「苺お嬢様の『いい子』は上っ面だけの『努力家』」という九鬼の評価を合わせてみますと、「いい子」が上っ面だけなのと同様に九鬼に対する警戒心も上っ面だけ(と九鬼には見られている)ということが分かります。つまり、本気で嫌われてるわけでもなく、なんならその気になればすぐ「洗脳」可能な矮小な存在にも関わらず、無駄に自分に反抗してくるうっとおしい奴。それが九鬼の苺に対する評価ということです。だからあんなぞんざいな対応なんですね。

すると、今後の方向性として……二通り考えられます。まずは苺お嬢様が九鬼によって「上っ面」の仮面を剥がされていき、演じていたキャラ作りから解放されて本当の自分を手に入れていく……しかしそれは本当に「本当の自分」なのか? 「九鬼に与えられた自分」に過ぎないのでは? という展開。そしてもう一つは……苺お嬢様の「努力」が次第に身を結び、九鬼が評価と態度を改めざるを得ないほどに「上っ面」を磨き上げる(或いは内面まで磨き上げる)までの成長記録、という形。どちらも考えられますが、目下の問題は、九鬼にも苺にも感情移入できないまま、読者が置いてけぼりにされているこの現状ですかね……

「よふかしのうた」

六人の吸血鬼はいずれも春の七草から名前が取られてますが、6人であることに意味はあるのか。まあ、ナズナちゃんの名前が響きから先につけられて、仲間が後から追加されたのならゴギョウハハコグサ)がいないというのには別に意味はないんでしょうけど。しかしヒロインパンクしてないですか? 大丈夫?

モーニング7

新連載に「刷ったもんだ!」。印刷会社の職業モノで、作者の染谷みのるは「あなたに耳ったけ!」の人ですね。読切では耳掃除という近年注目(?)の性癖を見事に描いていて期待株でしたが、*1連載は無難に(?)モーニング定番の業界モノということになりました。ヤンキー上がりの女性主人公、御曹司の無愛想な男性同僚などキャラ付けのためとはいえややくどいと感じる演出もありますが、流石に絵も話作りも演出もレベルが高い。こういうクオリティの高さは流石はモーニング連載作品という感じですね。ドラマ化にも向いていそうで続きが楽しみな作品です。

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絶対目を合わせないマンがいたときに使ってください。

読切ではわたせせいぞうの「ハートカクテル」の特別編が4ページ、「おのぼり侍」は新人・山村東の江戸人情モノ。新連載予告付きなので、挨拶がわりという感じか。江戸の庶民と侍の建て付けですが、テーマは現代にも通じる児童犯罪と都市で生き抜く心構え。清十郎の心情を丁寧に描いて感情移入の中心に据えつつ、スリの娘に人間味を加えるだんご(猫)の存在感もいい感じ。やっぱり本質的に猫作家なんですね。

「サイクリーマン」

次号最終回、だと……? 全くそんなそぶりもなかったのに、どうして……冗談抜きで無難に面白いマンガだと思ってたんですけどね。風張さんは確かに一般的な人気は出にくそうなキャラクターなんで、作品本体の面白さで勝負しなきゃなんですが、「イチケイのカラス」もこんな感じでひっそり終わったし、単に「普通に面白い」だけではモーニングを生き残れなくなりつつあるみたいですね。そうなると新連載も心配だな……。

マガジンエッジ2

新連載が2本。

「宮本サクラが可愛いだけの小説の漫画。」は同名小説の凪庵によるコミカライズ。ジャンルとしてはラブコメですが、タイトルから想像される以上にヒロインがテンプレキャラに見えるのは気のせいか……。まあコミカライズだし、元々人気あるんでしょうから心配はしてませんが、原作もこんな感じなのなら何が売りのラノベなのかな?

「彼氏絶対殺す彼女 vs. 彼女絶対落とす彼氏」はsugiyaによるラブコメオムニバス。Twitterでバズったのが元という触れ込みで、確かに4〜8ページぐらいのショートオムニバス向けの設定です。個人的にはハニートラップというには彼女側の殺意が見え見えなのが気になるところですが、まあそこはマンガなので。

読切で月野和青「やまがたへなこのメリーさん」、一方で「新訳Märchen」「SHAMAN KINGレッドクリムゾン」は最終回。やっぱり場末雑誌でマンキン2連載なんて無理だったんだよ……。山形愛と山形弁に溢れたメリーさんは可愛かったです(小並感)

*1:染谷先生、他誌では連載経験があるみたいですね……。(など)モーニング初連載なのは確かですが、誤解に基づいた表現のため訂正いたします